2024年07月07日
今年のセレクションセールでは、当場生産馬が3頭合格しています。
今回は、そのなかで3日目に上場予定の№494クラシックスの2023を紹介させていただきます。
本馬の牝系解説文(ブラックタイプ)はこちらからご参照ください。
上記の360℃画像は、クリックもしくはタップしながら横にスライドすると回転していきます。
【7月21日現在】体高156cm 胸囲180cm 管囲20.8cm 馬体重471kg
本馬は現在、当場の高江第1分場(1歳分場)にて昼夜放牧をしながらセリ馴致をしています。
当場の方針として、当場内でセリ馴致する際はセールに上場することだけを目的とせず、将来の競走馬という意味でもしっかりと基礎体力を付けて送り出したい思いから昼夜放牧も同時に実施しています。
G2日経新春杯勝ちのモズベッロ(2017年セレクションセール取引馬)、国内外の重賞を4勝している現役馬ディープボンド(2018年セレクションセール取引馬)、G3エルムS勝ち馬フルデプスリーダー(2018年セレクションセール取引馬)、G2AJCCとG3エプソムCの勝ち馬ノースブリッジ(2019年セレクションセール取引馬)、そして今年のG3葵SとG3北九州記念の勝ち馬ピューロマジック(2022年セレクションセール取引馬)。
彼らはすべて当場生産によるセレクションセール上場馬ですが、当場内で昼夜放牧をしながらセリ馴致をしてセール上場した馬たちです。
正直なところ、昼夜放牧をしながらセリ馴致をすると疲労が溜まりやすいのですが、そのあたりは獣医に相談するなどして適切なケアをしてもらって対応しています。
これまで同様、セール当日に向けて細心の注意を払いながらセリ馴致を進めていきます。
当場から上場予定の3頭のなかで、本馬の父マジェスティックウォリアーだけが既に複数世代の産駒をデビューさせている種牡馬になります。
7月5日現在、マジェスティックウォリアー産駒の上位50頭(獲得賞金順)を調べたところ、次のような血統的特徴が見受けられました。
①産駒の母方にHaloの血が入っている 40頭/50頭
②産駒の母方にNasrullah/Princequilloの組み合わせに代表されるようなNearco系×Prince Rose系のニックから成る血脈が存在する 32頭/50頭
③産駒がMr.Prospectorクロスを持つ 27頭/50頭
④産駒がBuckpasserクロスを持つ 22頭/50頭
①に関しては、母方にサンデーサイレンスの血が入っていれば満たされる条件なので、特別珍しい傾向ではありません。
本馬の場合は、母方にサンデーの血はないものの、母父キングヘイローを通じてHaloを持つので該当します。
②に関しては例えばSecretariat、Seattle Slew、Sir Gaylord、Riverman、Mill Reefのような血脈が該当します。
なぜ、このような血脈が母方にあるとマジェスティックウォリアー産駒は活躍傾向にあるのか。
それはおそらく、マジェスティックウォリアー自身の血統にSeattle SlewやSecretariat、Sir GaylordといったNearco系×Prince Rose系のニックから成る血脈が複数存在することが関係していると思います。
上記はマジェスティックウォリアーの5代表ですが、ハイライトの血脈がNearco系×Prince Rose系のニックから成る血脈です。
これらの血脈が、産駒の世代で母方の同型血脈と相似クロスを形成することで能力強化につながるのではと推測しています。
本馬の血統においては、母方にSir Gyalordやボールドラッドがあるので、この②の傾向にも該当します。
特に、本馬の母父キングヘイローはSir Gaylord4×4なので、マジェスティックウォリアーの血統的特徴を活かす血脈としては適していると思います。
さらに深く言及すると、この②の血統的特徴に加えて、本馬の世代ではSpinning Round(マジェスティックウォリアーの2代母)≒モガミポイント(クラシックスの2代母)による相似クロスもできます。
いずれも父がNorthern Dancer系であり、それぞれの母父であるSecretariatとボールドラッドは3/4同血という関係です。
本馬が属するモガミヒメ牝系においては、このモガミポイントの血をうまく活かすと活躍傾向にあるので、この相似クロスは血統的には重要だと考えています。
③については、Mr.Prospectorの血がスピードを伝える傾向にあるので、これをクロスすることで日本のスピード馬場に合う産駒が誕生しているのでしょう。
本馬はMr.Prospectorクロスは持っていないので③には該当しませんが、Mr.Prospector≒Alydarによる相似クロスはできます。
マジェスティックウォリアー産駒のなかには、OP勝ち馬アルファマムのようにこのMr.Prospector≒Alydarを持つ活躍馬も存在します。
④については、マジェスティックウォリアー自身がBuckpasser4×4を持っているため、これを産駒の世代で継続クロスさせることで父の能力遺伝に繋がるのではと考えています。
本馬の場合、母クラシックスがBuckpasser5×5を持っていることから、父の持つBuckpasserクロスを継続強化できるので④にも該当します。
このように本馬を血統面から考察すると、父マジェスティックウォリアーの活躍産駒と類似の血統パターンであることがわかります。
馬体には程よい伸びもあるので、兄姉のように短距離タイプというよりはマイル、あるいは中距離あたりまで距離適性があるのかもしれません。
いずれにしてもダート適性が強い馬になるだろうと予測しています。
本馬に関してお問い合わせがございましたら牧場公式サイトからご連絡いただくか、当ブログに連絡先を添えてコメント欄にご記入くださるようお願いいたします。
当場から折り返し連絡させていただきます。
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