2024年08月14日
今回は、サマーセール2日目(8月20日)に上場予定の当場生産馬である№259ベルキューズの2203を紹介させていただきます。
なお、本馬の牝系解説文(ブラックタイプ)はこちらからご参照ください。
【8月12日現在】体高154cm 胸囲174cm 管囲20.7cm 馬体重436kg
本馬は現在、当場の高江第1分場(1歳分場)にて昼夜放牧をしながらセリ馴致をしています。
当場の方針として、当場内でセリ馴致する際はセールに上場することだけを目的とせず、将来の競走馬という意味でもしっかりと基礎体力を付けて送り出したい思いから昼夜放牧も同時に実施しています。
G3武蔵野Sを勝ったソリストサンダー、G2日経新春杯勝ちのモズベッロ、国内外の重賞を4勝している現役馬ディープボンド、G3エルムS勝ち馬フルデプスリーダー、G2AJCCとG3エプソムCの勝ち馬ノースブリッジ、そして今年のG3葵SとG3北九州記念の勝ち馬ピューロマジック。
彼らはすべて当場生産によるセール上場馬であり、当場内で昼夜放牧をしながらセリ馴致をして上場した馬たちです。
当場生産のサマーセール上場馬からはまだ重賞勝ち馬が出ていないものの、オセアダイナスティやドンアミティエといった生産馬たちが現役OP馬のサマーセール出身馬として頑張ってくれています。
正直なところ、昼夜放牧をしながらセリ馴致をすると疲労が溜まりやすいのですが、そのあたりは獣医に相談するなどして適切なケアをしてもらって対応しています。
これまで同様、セール当日に向けて細心の注意を払いながらセリ馴致を進めていきます。
父のルヴァンスレーヴは現2歳世代が初年度産駒になります。
ファーストシーズンサイアーという点では、アドマイヤマーズやサートゥルナーリアの産駒たちが続々と勝ち上がっているものの、ルヴァンスレーヴ産駒はJRAにおいてはまだ勝ち馬がいません。
ただ、2歳新馬戦が始まってまだ2~3か月という状況のなかでは同じ境遇の種牡馬も多く、ルヴァンスレーヴ産駒にもJRA勝ち馬はいずれ出てくるでしょう。
一方で、地方においては4戦3勝のルヴァンスレーヴ産駒ソルジャーフィルドをはじめ5頭の産駒が勝ち上がっているなど、ダート血統の種牡馬らしいスタートを切っているとも言えます。
このように、ルヴァンスレーヴ産駒のデータを検証するには早急なので、ここでは父ルヴァンスレーヴの血統パターンにフォーカスしながら本馬の血統との関連性を指摘したいと思います。
ルヴァンスレーヴの血統を見たとき、わかりやすいのはRoberto3×5のクロスだと思います。
Roberto自身は牡馬らしい発達した筋肉としっかりとした骨格を備えた馬体で、G1英ダービーを制するなど活躍した名馬です。
どちらかと言えばRobertoの血は芝向きのカテゴリーに入る血脈ですが、このクロスを持つルヴァンスレーヴ自身の馬体も、ダート系らしい力強さのなかに芝でもやれそうなしなやかさを備えています。
実際、ここまでの産駒の出走歴においては、芝の新馬戦で2着しているタキノボリのようにダートよりも芝の出走のほうが多いという状況です。
血統的にも芝っぽさを感じさせるルヴァンスレーヴですが、やはり彼の持つRobetoクロスが血統的特徴と言えるかもしれません。
Roberto自身の血統は、Hail to Reason≒Bramaleaという父母相似配合から成る血統パターンです。
Robertoの父Hail to Reasonそして母Bramalea両者の血統を見比べるとRoyal Charger≒Nasrullah、Sir Gallahad=Bull DogさらにBlue Larkspurの血を持つことから血統的親和性が高い関係にあります。
ルヴァンスレーヴの場合、そこにHail to Reason4×5*6のクロスも持つので、Hail to Reason≒Bramaleaの相似クロスを強化するような血統パターンになっているのが特徴です。
さらに、ルヴァンスレーヴの母方にあるGold Digger(Mr.Prospectorの母)の血を組み合わせることで、Hail to Reason≒Bramalea≒Gold Diggerという強力なトライアングルから成る相似クロスを形成していることも彼の血統的長所です。
ほかにもFransis S.やGlamourの血など、ルヴァンスレーヴの血統にはRoberto~Hail to Reasonのラインを支える血脈が存在していて、結果として彼の持つRoberto3×5というクロスがフォーカスされることになります。
その上で本馬の血統を見ると、まずMr.Prospector6×4の存在があります。
前述したように、Mr.Prospectorの母Gold Diggerの血はルヴァンスレーヴの血統において重要な役割を果たしているRobertoの血と相似クロスを形成できる関係にあるので、このMr.Prospectorクロスは有効だと考えます。
また、母ベルキューズの血統にはHail to Reasonの血も含まれているので、父ルヴァンスレーヴの血統傾向を受け継いでいるとも見なせます。
一方で、このRoberto~Hail to Reason以外のルヴァンスレーヴの血統的特徴として、彼の母マエストラーレに存在するHyperionの血の多さに以前から注目していました。
具体的にはMountain Flower(Hyperion3×4)、ポインテッドパス(Hyperion5×4)、Fall Aspen(Hyperion3×4)、ダイナフェアリー(Hyperion5×4*5)などが該当します。
Hyperionの血が強い血統馬は、競馬においては直線の長いコースに適性を示す馬が多く、ルヴァンスレーヴの競走成績にもその傾向が窺えます。
本馬の血統においては、母方にHyperionの血が強いトニービン(Hyperion5×3*5)が入っているので、血統的的にルヴァンスレーヴが持つHyperionの流れも活かせるのではと思って配合しました。
母ベルキューズにとっては初仔の2歳につづく2番仔として誕生した本馬ですが、4月27日生まれということで、他の1歳馬よりも成長速度が少し遅かった経緯があります。
それでも、こちらの予想どおり8月セールに間に合うだけの馬体に成長してくれました。
他のルヴァンスレーヴ産駒と同じように、本馬も歩様など見る限り芝でも行けるのではと思わせるしなやかさがあります。
それでも母がダートで3勝クラスまで行った馬であること、また父ルヴァンスレーヴも自身はダートで競走成績を挙げたことを考慮すると、やはり本馬もダート馬に成長すると考えるべきでしょう。
全体的にバランスの取れた馬体で、冬期を含めて現在まで昼夜放牧してきたなかで、暑い夏でもセリ馴致をこなしてしっかりと飼い葉も食べるなど心身ともに成長しています。
セール当日まで約1週間ですが、最後まで気を引き締めて臨んでいきます。
本馬に関してお問い合わせがございましたら牧場公式サイトからご連絡いただくか、当ブログに連絡先を添えてコメント欄にご記入くださるようお願いいたします。
当場から折り返し連絡させていただきます。