【ターファイトクラブ募集馬】メジェルダの2024(牝 父レイデオロ)

今年のターファイトクラブの当歳馬募集は、本日10月29日より開始となりました。

当場からはメジェルダの2024(牝、父レイデオロ)を提供させていただきました。

なお、本馬の牝系解説文(ブラックタイプ)はこちらからご参照ください。

 

 

【10月29日現在】馬体重273kg

 

馬産地におけるターファイト募集馬ツアーと懇親パーティー、そして先日の東京で開催された募集馬検討会を経て、本日10月29日より本馬を含めた当歳世代の募集が始まりました。

本馬は9月下旬に繁殖分場から1歳分場へ移動して、本格的に中期育成が始まっています。

明るい鹿毛とやや小柄な馬体、そして敏感な部分を持っている気性は、いかにもメジェルダ産駒らしいと言えます。

1歳分場に移動して新しい環境になったこともあり、始めのうちは集牧時でも1歳分場のスタッフから逃げるような面もありました。

しかしながら約1カ月経過して環境に慣れるとグンと大人びてきて、放牧時や集牧時はもちろん、馬房内でもクセなく扱える馬に成長しています。

メジェルダ産駒ということで、敏感な部分は消えることなく持っていますが賢い馬でもあり、しなければならないことを理解している様子です。

私自身があまり時間を取れないこともあって、上記の写真画像は最新ではなく2週間ほど前のものになります。

いま現在は、中期育成仕様の飼い葉を食べるなかでこの写真より丸みを帯びた馬体をしていて、より短距離向きの雰囲気が出ています。

当歳ということで、しばらくは脚長に見せる時期もあるでしょうが、馬体のつくりからすると兄姉同様に短距離~マイル向きの馬体になっていくと予想しています。

 

父レイデオロはダービーと天皇賞・秋を制した一流馬で、サンデーサイレンスの血を持たず、しかも牝系はディープインパクトと同じということで種牡馬入り当初から大きな注目を集めていました。

その彼の初年度産駒が3歳というなかで、まだ重賞勝ち馬がないという状況が、彼の種牡馬成績に物足りなさを感じさせているのでしょうか。

私が北海道での募集馬ツアーの日の夜に開催された懇親パーティーに参加した際、レイデオロの種牡馬成績に不安を抱いているクラブ会員さんが複数いたと記憶しています。

しかしながら、種牡馬ランキングで3歳と2歳世代のみで28位という成績は決して悪くありません。

レイデオロ自身の血統は父キングカメハメハ、母の父シンボリクリスエスそして2代母の父Seeking the Goldと、全体に北米血脈が強い血統パターンです。

血統面から彼の競走能力を少しでも遺伝させようとするならば、少なからず北米血脈を持つ繁殖牝馬との配合が望ましいでしょう。

さらに深くレイデオロの血統自体について言及すると、スピード血脈として後世に多大な影響を与えているMr.Prospectorの血が3×4でクロスされているのが特徴的です。

そこに母方からシンボリクリスエス、すなわちRoberto系の血を組み合わせているのが特徴的だと個人的には思っています。

Robertoの父Hail to Reasonと母Bramaleaは、それぞれMr.Prospectorの母Gold Diggerと相似クロスを形成できる関係にあります。

 

 

いずれの組み合わせも父系はNashua、もしくはNasrullah≒Royal Chargerという近い関係です。

また、母方にBull Dog(Sir Gallahad)とBlue Larkspurの組み合わせを持つ点でも共通しています。

このように、血統的にMr.Prospector系とRoberto系は相性の良い組み合わせです。

馬体のつくりによって芝馬に出ることもあれば、ダート路線で結果を残す馬もいるのがこの組み合わせの特徴です。

レイデオロ自身はMr.Prospector3×4を持ちますが、本馬はそのクロスを継続すべくSeeking the Gold4×5を経てMr.Prospector4*5×6のラインブリードを持ちます。

そのSeeking the Goldですが、母父がBuckpasserであることはレイデオロの血統を考察する上で重要だと思っています。

レイデオロはBuckpasser6×5を持っていて、このクロスからは力強さや底力を感じさせます。

Buckpasserの血は、レイデオロの血統においてはシンボリクリスエスの2代母Tri Argoと相似クロスを形成します。

 

 

父系はいずれもTom Foolに遡り、Buckpasserの母BusandaはTri Argo内のBlue Eyed Momoと同血の関係にあります。

 

 

こうして見ると、レイデオロの血統においてはMr.ProspectorとBuckpasserという2つの北米血脈がキーになっていて、そうなるとMr.Prospector×Buckpasser牝馬から生まれたSeeking the Goldの存在がレイデオロの血統では重要なのかも、と個人的に考えていました。

結果として、レイデオロの配合相手に当場のメジェルダを選んで本馬が誕生したわけですが、それはこの配合でSeeking the Gold4×5ができるのが理由の一つでした。

一方で、違う視点でレイデオロの血統に目を向けると、彼がディープインパクトと同じウインドインハーヘアの牝系出身であることがわかります。

ただ、レイデオロはこれまで述べてきたように全体的に北米血脈が強い血統をしています。

ウインドインハーヘアの血は欧州血脈で占められていますから、レイデオロの全体的な血統パターンからすると彼女の血は異系血脈と見なすこともできます。

すなわち、レイデオロとの配合を考える際には、このウインドインハーヘアの血を異系血脈として強調して血の活性化を図るか、あるいはレイデオロの北米血脈を活かす配合をするか、もしくはその両方を成り立たせる配合を試みるかだと考えます。

 

レイデオロの種牡馬成績を調べるなかで、収得賞金500万以上のレイデオロ産駒43頭の血統に注目したところ、以下のような血統傾向が見られました。

①母方にHalo(サンデーサイレンスを含む)の血を持つ産駒 31頭/43頭

②Mr.Prospectorクロスを持つ産駒 16頭/43頭

③Specialクロスを持つ産駒 10頭/43頭

④ウインドインハーヘアのクロスを持つ産駒 9頭/43頭

⑤母方にDanzigの血を持つ産駒 7頭/43頭

⑥母方にDeputy Miniserの血を持つ産駒 7頭/43頭

⑦母方にStorm Catの血を持つ産駒 5頭/43頭

 

①については、レイデオロ自身がサンデーサイレンスの血を持たないので、この血を持つ繁殖牝馬との配合が可能というのが最大の要因だと思われます。

本馬は、母父ディープインパクトを経てサンデーサイレンスの血を持つので該当します。

②のMr.Prospectorクロスについては、その重要性をすでに指摘しているのでここでは割愛します。

本馬はSeeking the Gold4×5を経てMr.Prospectorクロスを持つので②にも該当します。

③のSpecialクロスに関しては、レイデオロの持つNureyevと、産駒の母方にSadler’s WellsやFairy Kingなどの血がある場合にできるクロスです。

本馬はNureyev自身のクロス5×6を持っていて、正確には③には該当しないのですが、実際このNureyevクロス持ちの血統パターンも43頭中8頭存在します。

④のウインドインハーヘアのクロスに関しては既述しているので、ここでは割愛します。

本馬はこのクロスを持つので該当します。

⑤の母方にDanzigの血を持つ馬に関しては、本馬は該当しません。

そのなかでも、デインヒルの血を経てDanzigの血を持つレイデオロ産駒が多かったのが特徴的でした。

⑥の母方にDeputy Ministerの血を持つ馬に関しては、本馬は母方のフレンチデピュティを経てこの血を持つので該当します。

北米血脈のDeputy Ministerの血が、レイデオロの持つ北米血脈と好相性なのかもしれません。

⑦のStorm Catの血については、本馬は該当するものの、正直なところサンプル数としては少ないと感じています。

それでも、キングカメハメハ系はStorm Catの血と相性が良く、ロードカナロアがその好例です。

 

レイデオロ産駒の産駒傾向を調べた限りでは、本馬の血統パターンはレイデオロの活躍産駒に類似すると思われます。

ただ、クラブ会員の皆さまがご存じのように、メジェルダの産駒は気性的にも競走能力的にも母メジェルダの特徴を色濃く受け継ぎます。

本馬も普段は他馬と同じようなテンションで過ごしていますが、このきょうだいらしい敏感なスイッチは確かに持っています。

このような点を考慮すると、レイデオロの血をうまく受け継ぐ配合にはしたものの、メジェルダ産駒ということで父レイデオロほどの距離は持たないだろうと感じています。

おそらくマイル以下に適性のある産駒に成長すると考えるほうが妥当でしょう。

また、北米血脈が強い配合から生まれているだけに、半兄メディーヴァルやバグラダスがそうであるように、芝・ダートいずれにも適性を示す可能性があります。

実際、レイデオロ産駒の勝ち鞍のうち約1/4はダートによるものであり、少なからずレイデオロ産駒にはダート適性が備わっていると見なせます。

 

本日から始まった当歳馬募集ですが、この記事がクラブ会員の皆さまに出資検討の一助になると幸いです。

本馬は半姉に重賞勝ち馬ピューロマジックを持つ血統でありますし、当場としても大きな期待を持ちながら今後もしっかりと飼養管理に努めていきます。

 

当場生産馬のコシュデリ号が2歳未勝利戦を快勝!

10月27日、京都第2R(2歳未勝利、ダ1800)に当場生産馬のコシュデリ号が出走しました。

 

 

前走の新馬戦を不利も影響してか10着で終えたコシュデリは、初戦と同じく2戦目の今回も6番人気で迎えました。

スタートをうまく決まて、2番手あたりで追走しながら道中を進めていくコシュデリ。

3コーナーあたりから先頭集団が詰まってきながらも、終始手応え良く回って2番手のまま最終コーナーを回ります。

直線に入って鞍上のゴーサインに応えるように力強く抜け出したコシュデリは、最後まで脚力が鈍ることなく、最後は2着馬に5馬身差をつけて優勝しました。

馬主様をはじめ関係者の皆さま優勝おめでとうございます。

本馬は、2023年のセレクションセールで現在の馬主様にご購買いただきました。

当時のセールに向けた本馬の紹介記事は、以下のリンクからご参照ください。

【セレクションセール】№182キタサンテンビーの2022(牡 父ホッコータルマエ)

 

【1歳時のコシュデリ】

 

1歳時からホッコータルマエ産駒らしく体高があってムダ肉が付かない馬体をしていて、セレクションセールでも非常に高い評価をいただきました。

当時のセレクションセール会場では、バイヤーの方々のみならず、馬産地関係者の方々からも馬体を褒めていただいたことを思い出します。

成長とともに母父ダイワメジャーの力強さも身に付けてほしいと思っていましたが、今回のレースで見せた力強い走りからも期待通りの成長を見て取れます。

5馬身差を付けたことも評価したいですが、2歳未勝利としては時計も悪くないと思います。

3歳ダート路線が充実している現在においては、本馬のダート中距離適性は今後の昇級戦のみならず、先々のレースまで期待したくなります。

本馬の従兄であるノースブリッジは天皇賞・秋で思うようなレースができずに終わってしまいましたが、その分コシュデリが勝ってくれました。

モガミヒメの牝系からまた1頭、楽しみな馬が出てくれました。