【セレクトセール当歳】№327アメージングムーンの2023(牡 父キタサンブラック)

7月11日に開催されるセレクトセール当歳に、当場から2頭の当歳馬を上場予定です。

今回は、そのうちの上場番号327番アメージングムーンの2023を紹介させていただきます。

本馬の牝系解説文(ブラックタイプ)はこちらからご参照ください。。

 

 

【2023年6月撮影時】

 

【7月3日現在の馬体重】270kg

 

本馬は、本年における当場生産のなかで最も早く生まれた当歳馬です。

早生まれだけあって、他の当歳馬たちに比べて一回り以上大きな馬体のつくりをしています。

このきょうだいは気の強さを持っているのが一つの特徴ですが、本馬も放牧地で活発な面を見せるなどその雰囲気を感じさせます。

一方で、厩舎ではのんびりしていることが多く、キタサンブラック産駒らしいどっしりとした面も併せ持っています。

そのキタサンブラックですが、父がディープインパクトではなくその全兄ブラックタイドということもあったのか、他のディープ系種牡馬と比べて、彼自身の素晴らしい競走成績の割りには種牡馬入り当初はそれほど人気が高くなかったように思います。

しかしながら産駒がデビューすると、現4歳の初年度産駒から年度代表馬イクイノックスが、また2年目産駒の現3歳世代からはG1皐月賞馬ソーオリエンスが出るなど、いま最も勢いのある種牡馬だと言えるほどの人気種牡馬になりました。

産駒の馬体的特徴は、やはり父に似て体高があり素軽く見せる芝向きの産駒が多い印象ですが、産駒成績を見ると芝だけでなくダートの勝ち鞍も全体の約3割を占めるなど、距離の長短も含めて産駒は幅広い適性を示しています。

では、そのキタサンブラックの活躍産駒に共通する血統的特徴はどのようなものなのか、少し調べてみました。

1000万円以上獲得しているキタサンブラック産駒46頭(6月8日現在)について調べたところ、以下のような血統的特徴が見受けられます。

 

①Haloクロス、あるいはサンデーサイレンスのクロスを持つキタサンブラック産駒 21頭/46頭

②母方にSpecial(Nureyevの母、Sadler’s Wellsの2代母)の血を持つキタサンブラック産駒 20頭/46頭

③Lyphardクロスを持つキタサンブラック産駒 8頭/46頭

 

彼の活躍産駒のなかでもっとも特徴的だったのは①のHalo、またはその息子サンデーサイレンスのクロスを持つというパターンでした。

本馬もこの①に該当する血統パターンです。

日本でこれほどサンデー系が繁栄しているのだから、特徴というほどでもないという考え方もあるでしょう。

ただ、キタサンブラックの父ブラックタイドがHalo≒Sor Ivorの相似クロスを持っていたことから、キタサンブラック産駒がHaloやサンデーサイレンスのクロスを持つことでこの相似クロスを強化する配合パターンは好ましいと考えます。

 

 

次に②母方に名牝Specialの血を持つキタサンブラック産駒が活躍傾向にあるというデータですが、これはキタサンブラック自身の血統が関係しているかもしれません。

Specialという血脈はNearco系×Hyperion系の組み合わせを持つ血であり、これはNorthern Dancerの父Nearcticにも当てはまる血統パターンです。

キタサンブラックはNorthern Dancer5*5×5を持つので、その父Nearcticもまた3本持っていることになります。

また、キタサンブラックの母父サクラバクシンオーはその2代父がテスコボーイであり、このテスコボーイもまたNearco系×Hyperion系の組み合わせを持つ血脈です。

つまり、キタサンブラックの血統にはNearco系×Hyperion系から成る血が複数存在していて、それに呼応するSpecialのような血を持つ繁殖牝馬と相性が良いと考えられます。

本馬の母方にはSpecialの血がありませんが、その代わりNearcticクロスを持つアドマイヤムーンが母父であるなど、本馬の母アメージングムーンは少なからずNearco系×Hyperion系の血を持っています。

③のLyphardクロスを持つキタサンブラック産駒については、キタサンブラック自身がLyphard4×4を持っているので、彼の血統的特徴を継続強化した血統パターンになります。

本馬はこのパターンには該当しません。

 

ここからは、本馬の母アメージングムーンのことを取り上げます。

彼女は札幌の2歳未勝利(芝1200)のレコードホルダー(1:09.5)でした。

その彼女の初仔アメージングサン(父ロードカナロア)が初勝利したのが、母と同条件の札幌2歳未勝利(芝1200)でした。

そして、このときのタイムが1:09.1であり、結果として親仔によるレコードタイムの更新(当時)となりました。

また、2番仔のノースブリッジ(牡、父モーリス)は4歳時にG3エプソムCを、5歳になった今年はG2AJCCを勝つなど13戦6勝の成績を挙げていて、今後は夏を休養に充てて今秋のG2オールカマーに向けて調整される見込みです。

さらに4番仔のタッチウッド(牡、父ドゥラメンテ)は2歳時に芝2000の新馬戦を制すると、本年3歳を迎えたG3共同通信杯では今年のダービー馬タスティエーラに先着するなど2着と健闘しました。

彼は秋に向けて休養するようですが、レースでかかるなど気性面での成長もカギになってくると思うので、心身ともに成長した彼の姿を楽しみに待ちたいと思います。

 

この牝系に目を向けると、本馬の2代母ビッグテンビー(G1勝ち馬ローレルゲレイロの母)の血統傾向に大きな特徴があります。

この牝馬は「Northern Dancer+Nearco/Prince Roseのニックスから成る血」に該当する血脈を3本(モガミポイント、テンビー、その父Caerleon)持っています。

この傾向を持つ血は多く、有名どころではStorm Catやダンシングブレーヴなど、多くの血脈がこのカテゴリーに該当します。

そして、本馬の父キタサンブラックの血統においてはAlzaoが同様の血統傾向を持っていて、このAlzaoと、本馬の母方のなかでも特にCaerleonの血が相似クロスを成立させます。

 

 

「Northern Dancer+Nearco/Prince Roseのニックスから成る血」を多く持つ馬には柔軟性に富んだ馬が多い印象を受けますが、本馬の体質にもそのような特徴が見受けられます。

ちなみに、本馬の叔父ローレルゲレイロ(G1高松宮記念、G1スプリンターズS)はキングヘイロー産駒ですが、彼の2代父は「Northern Dancer+Nearco/Prince Roseのニックスから成る血」に該当するダンシングブレーヴです。

また、本馬と同牝系で国内外の重賞4勝のディープボンドも、父がStorm Cat持ちのキズナで母方にはダンシングブレーヴやモガミポイントの血が入っています。

ローレルゲレイロやディープボンド、さらには本馬の半兄ノースブリッジのように、本馬と同じモガミヒメの牝系出身で「Northern Dancer+Nearco/Prince Roseのニックスから成る血」の影響を強く持つ馬は、総じて活躍傾向にあります。

 

重賞勝ち馬の半弟であり、いま注目のキタサンブラック産駒の牡馬ということで、すでに当場まで下見に来てくださるお客様が多くいらっしゃいます。

当場としても、セール当日に立派な馬体で皆様にご覧いただけるように飼養管理に努めてまいります。

本馬に関してお問い合わせがございましたら、牧場公式サイトからご連絡いただくか、当ブログに連絡先を添えてコメント欄にご記入くださるようお願いいたします。

当場から折り返し連絡させていただきます。

 

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