ターファイトクラブ募集馬トキノステラの2023(牝 父アジアエクスプレス)が満口に

当場生産馬でターファイトクラブ募集馬のトキノステラの2023(牝、父アジアエクスプレス)につきまして、先日このブログにて満口近いアナウンスをさせていただきましたが、結局その日のうちに満口扱いとなりました。

ご報告が遅れてしまいましたが、出資会員の皆さまには御礼申し上げますとともに、今後ともよろしくお願い申し上げます。

 

 

母トキノステラの全姉であるゼフィランサスは、初仔からJRA3勝馬のダンケシェーンを産み、その後は重賞勝ち馬ディープボンドも出しています。

また、もう一頭の全姉クラシックスも初仔ドンアミティエが現在JRAのOPクラスに在籍していて、彼はその血統構成が本馬と同血という関係です。

トキノステラにとって初仔となる本馬は、牝馬ながら約500kgの立派な馬体をしていて、適性に関してはドンアミティエと同じダート短距離が主戦場になるのではと予想しています。

育成場のファンタストクラブに移動してからも順調のようですし、その順調さと丈夫さでコンスタントに活躍できる馬に成長してくれることを期待しています。

改めまして、このたびは多くの会員の方々にご出資いただき誠にありがとうございました。

 

ターファイトクラブ提供馬トキノステラの2023の残口が僅かに

本日、ターファイトクラブのスタッフさんから当場提供馬のトキノステラの2023(牝、父アジアエクスプレス)につきまして、残口が5口とのお知らせがありました。

 

 

本馬は、現在JRAでOPクラスのドンアミティエと同父で、母が全姉妹という関係です。

そのドンアミティエは、先週のOP室町S(ダ1200)で3着と好走してくれました。

調教師の先生からOPでもやれる馬と聞いていたので、苦手な暑い時期を過ぎて、これから本領を発揮してくれそうな気配です。

本馬はドンアミティエと血統構成は同じことから、おそらく彼と同じくダート短距離を得意とする馬に成長するはずです。

本馬への出資をご検討の方は、残り5口ということですので、どうかお早めにご判断くださいますようお願い申し上げます。

 

【ターファイトクラブ募集馬】メジェルダの2024(牝 父レイデオロ)

今年のターファイトクラブの当歳馬募集は、本日10月29日より開始となりました。

当場からはメジェルダの2024(牝、父レイデオロ)を提供させていただきました。

なお、本馬の牝系解説文(ブラックタイプ)はこちらからご参照ください。

 

 

【10月29日現在】馬体重273kg

 

馬産地におけるターファイト募集馬ツアーと懇親パーティー、そして先日の東京で開催された募集馬検討会を経て、本日10月29日より本馬を含めた当歳世代の募集が始まりました。

本馬は9月下旬に繁殖分場から1歳分場へ移動して、本格的に中期育成が始まっています。

明るい鹿毛とやや小柄な馬体、そして敏感な部分を持っている気性は、いかにもメジェルダ産駒らしいと言えます。

1歳分場に移動して新しい環境になったこともあり、始めのうちは集牧時でも1歳分場のスタッフから逃げるような面もありました。

しかしながら約1カ月経過して環境に慣れるとグンと大人びてきて、放牧時や集牧時はもちろん、馬房内でもクセなく扱える馬に成長しています。

メジェルダ産駒ということで、敏感な部分は消えることなく持っていますが賢い馬でもあり、しなければならないことを理解している様子です。

私自身があまり時間を取れないこともあって、上記の写真画像は最新ではなく2週間ほど前のものになります。

いま現在は、中期育成仕様の飼い葉を食べるなかでこの写真より丸みを帯びた馬体をしていて、より短距離向きの雰囲気が出ています。

当歳ということで、しばらくは脚長に見せる時期もあるでしょうが、馬体のつくりからすると兄姉同様に短距離~マイル向きの馬体になっていくと予想しています。

 

父レイデオロはダービーと天皇賞・秋を制した一流馬で、サンデーサイレンスの血を持たず、しかも牝系はディープインパクトと同じということで種牡馬入り当初から大きな注目を集めていました。

その彼の初年度産駒が3歳というなかで、まだ重賞勝ち馬がないという状況が、彼の種牡馬成績に物足りなさを感じさせているのでしょうか。

私が北海道での募集馬ツアーの日の夜に開催された懇親パーティーに参加した際、レイデオロの種牡馬成績に不安を抱いているクラブ会員さんが複数いたと記憶しています。

しかしながら、種牡馬ランキングで3歳と2歳世代のみで28位という成績は決して悪くありません。

レイデオロ自身の血統は父キングカメハメハ、母の父シンボリクリスエスそして2代母の父Seeking the Goldと、全体に北米血脈が強い血統パターンです。

血統面から彼の競走能力を少しでも遺伝させようとするならば、少なからず北米血脈を持つ繁殖牝馬との配合が望ましいでしょう。

さらに深くレイデオロの血統自体について言及すると、スピード血脈として後世に多大な影響を与えているMr.Prospectorの血が3×4でクロスされているのが特徴的です。

そこに母方からシンボリクリスエス、すなわちRoberto系の血を組み合わせているのが特徴的だと個人的には思っています。

Robertoの父Hail to Reasonと母Bramaleaは、それぞれMr.Prospectorの母Gold Diggerと相似クロスを形成できる関係にあります。

 

 

いずれの組み合わせも父系はNashua、もしくはNasrullah≒Royal Chargerという近い関係です。

また、母方にBull Dog(Sir Gallahad)とBlue Larkspurの組み合わせを持つ点でも共通しています。

このように、血統的にMr.Prospector系とRoberto系は相性の良い組み合わせです。

馬体のつくりによって芝馬に出ることもあれば、ダート路線で結果を残す馬もいるのがこの組み合わせの特徴です。

レイデオロ自身はMr.Prospector3×4を持ちますが、本馬はそのクロスを継続すべくSeeking the Gold4×5を経てMr.Prospector4*5×6のラインブリードを持ちます。

そのSeeking the Goldですが、母父がBuckpasserであることはレイデオロの血統を考察する上で重要だと思っています。

レイデオロはBuckpasser6×5を持っていて、このクロスからは力強さや底力を感じさせます。

Buckpasserの血は、レイデオロの血統においてはシンボリクリスエスの2代母Tri Argoと相似クロスを形成します。

 

 

父系はいずれもTom Foolに遡り、Buckpasserの母BusandaはTri Argo内のBlue Eyed Momoと同血の関係にあります。

 

 

こうして見ると、レイデオロの血統においてはMr.ProspectorとBuckpasserという2つの北米血脈がキーになっていて、そうなるとMr.Prospector×Buckpasser牝馬から生まれたSeeking the Goldの存在がレイデオロの血統では重要なのかも、と個人的に考えていました。

結果として、レイデオロの配合相手に当場のメジェルダを選んで本馬が誕生したわけですが、それはこの配合でSeeking the Gold4×5ができるのが理由の一つでした。

一方で、違う視点でレイデオロの血統に目を向けると、彼がディープインパクトと同じウインドインハーヘアの牝系出身であることがわかります。

ただ、レイデオロはこれまで述べてきたように全体的に北米血脈が強い血統をしています。

ウインドインハーヘアの血は欧州血脈で占められていますから、レイデオロの全体的な血統パターンからすると彼女の血は異系血脈と見なすこともできます。

すなわち、レイデオロとの配合を考える際には、このウインドインハーヘアの血を異系血脈として強調して血の活性化を図るか、あるいはレイデオロの北米血脈を活かす配合をするか、もしくはその両方を成り立たせる配合を試みるかだと考えます。

 

レイデオロの種牡馬成績を調べるなかで、収得賞金500万以上のレイデオロ産駒43頭の血統に注目したところ、以下のような血統傾向が見られました。

①母方にHalo(サンデーサイレンスを含む)の血を持つ産駒 31頭/43頭

②Mr.Prospectorクロスを持つ産駒 16頭/43頭

③Specialクロスを持つ産駒 10頭/43頭

④ウインドインハーヘアのクロスを持つ産駒 9頭/43頭

⑤母方にDanzigの血を持つ産駒 7頭/43頭

⑥母方にDeputy Miniserの血を持つ産駒 7頭/43頭

⑦母方にStorm Catの血を持つ産駒 5頭/43頭

 

①については、レイデオロ自身がサンデーサイレンスの血を持たないので、この血を持つ繁殖牝馬との配合が可能というのが最大の要因だと思われます。

本馬は、母父ディープインパクトを経てサンデーサイレンスの血を持つので該当します。

②のMr.Prospectorクロスについては、その重要性をすでに指摘しているのでここでは割愛します。

本馬はSeeking the Gold4×5を経てMr.Prospectorクロスを持つので②にも該当します。

③のSpecialクロスに関しては、レイデオロの持つNureyevと、産駒の母方にSadler’s WellsやFairy Kingなどの血がある場合にできるクロスです。

本馬はNureyev自身のクロス5×6を持っていて、正確には③には該当しないのですが、実際このNureyevクロス持ちの血統パターンも43頭中8頭存在します。

④のウインドインハーヘアのクロスに関しては既述しているので、ここでは割愛します。

本馬はこのクロスを持つので該当します。

⑤の母方にDanzigの血を持つ馬に関しては、本馬は該当しません。

そのなかでも、デインヒルの血を経てDanzigの血を持つレイデオロ産駒が多かったのが特徴的でした。

⑥の母方にDeputy Ministerの血を持つ馬に関しては、本馬は母方のフレンチデピュティを経てこの血を持つので該当します。

北米血脈のDeputy Ministerの血が、レイデオロの持つ北米血脈と好相性なのかもしれません。

⑦のStorm Catの血については、本馬は該当するものの、正直なところサンプル数としては少ないと感じています。

それでも、キングカメハメハ系はStorm Catの血と相性が良く、ロードカナロアがその好例です。

 

レイデオロ産駒の産駒傾向を調べた限りでは、本馬の血統パターンはレイデオロの活躍産駒に類似すると思われます。

ただ、クラブ会員の皆さまがご存じのように、メジェルダの産駒は気性的にも競走能力的にも母メジェルダの特徴を色濃く受け継ぎます。

本馬も普段は他馬と同じようなテンションで過ごしていますが、このきょうだいらしい敏感なスイッチは確かに持っています。

このような点を考慮すると、レイデオロの血をうまく受け継ぐ配合にはしたものの、メジェルダ産駒ということで父レイデオロほどの距離は持たないだろうと感じています。

おそらくマイル以下に適性のある産駒に成長すると考えるほうが妥当でしょう。

また、北米血脈が強い配合から生まれているだけに、半兄メディーヴァルやバグラダスがそうであるように、芝・ダートいずれにも適性を示す可能性があります。

実際、レイデオロ産駒の勝ち鞍のうち約1/4はダートによるものであり、少なからずレイデオロ産駒にはダート適性が備わっていると見なせます。

 

本日から始まった当歳馬募集ですが、この記事がクラブ会員の皆さまに出資検討の一助になると幸いです。

本馬は半姉に重賞勝ち馬ピューロマジックを持つ血統でありますし、当場としても大きな期待を持ちながら今後もしっかりと飼養管理に努めていきます。

 

【ローレルクラブ募集馬】アメージングムーンの2024(牝 父コントレイル)

2024年度の当歳馬募集が始まりましたが、当場からはアメージングムーンの2024を提供させていただくことになりました。

今回は当馬の紹介をさせていただきます。

なお、本馬の牝系解説文(ブラックタイプ)はこちらからご参照ください。

 

 

コントレイル産駒は本馬の世代が2世代目となりますが、初年度産駒にあたる現1歳世代から産駒の出来の評価が高く、セリでの取引価格もセレクトセールをはじめ非常に高い価格で落札されています。

当場でもスルターナの2023につづき、本馬が2頭目のコントレイル産駒誕生ということで、コントレイル産駒には高い関心を抱いてきました。

また、他場さんが生産されたコントレイル産駒たちもセールを通じて見てきたなかで、当歳の早い段階では少し硬めの動きをする産駒が多いイメージを持っています。

これはおそらくコントレイルの母父Unbridled’s Songの影響かと思いますが、誕生から時間の経過とともに芝馬らしい柔軟性とバネの効いた動きが目立ってくる傾向にあるとも感じています。

あまり緩くない感じで生まれてくるのならば、順調に成長すると早い段階、すなわち2歳戦から活躍できそうなイメージも湧くので、種牡馬としてのコントレイルという観点からはむしろ良い傾向かもしれません。

本馬は当場で力を入れているモガミヒメ牝系出身ということで、この牝系らしい緩さを備えた感じて誕生しています。

ただ、例えば現2歳の半姉アメージングハナビなどと比較すると、より筋肉質で少しゴツめの馬体で生まれてきたのも事実で、そういうところもコントレイル産駒らしいです。

本馬も完成は古馬になってからだと思っていますが、コントレイル産駒らしさもあることから、2歳戦から動ける可能性はあると思っています。

1月生まれということもあり、大富繁殖分場のなかでは最も早く離乳を終えていて、8月中旬には中期育成部門の1歳分場へ移動しました。

離乳して1歳分場へ移動した直後は、他の当歳馬と同じく繊細で1歳分場のスタッフにも慣れていない状況がありました。

ただ、1カ月以上経過した現在は人を含めた1歳分場の環境にもすっかり慣れて、現状は当歳世代のなかでも大人びた一頭だと言えます。

すでに何組もクラブ会員さんによる見学を経験していますし、この1週間のなかでも複数組の見学を予定しています。

そういう経験も含めて、他馬よりも精神的に大人びてきたのかもしれません。

脚元を含めた馬体や気性面など、現時点では大きな課題は見当たらないので、このまま順調に成長できるように当場でも全力でサポートしていきます。

 

コントレイルの血統は、ディープインパクト×Storm Catの血を持つ母、という配合なので血統的にはキズナに共通している部分があります。

その意味では、本馬の血統とキズナ産駒の半姉ルヴニールは血統的特徴が似ていると言えるでしょう。

 

 

ルヴニールは新馬戦こそ2着してくれたものの、その後のレースにおける馬体重を見てもわかるように、残念ながら馬体的な成長があまり見られずに引退に至っています。

この点に関しては、当場としても責任を痛感しております。

なんとかその妹のアメージングハナビ、そして本馬でルヴニールの分まで活躍してほしいと願っています。

馬体重あるいは馬格という点では、本馬はアメージングハナビほどの雄大な馬格ではありませんが、ルヴニールよりは大きな馬体です。

コントレイル自身が少し小柄な馬体であるために、産駒も小柄に出やすいと思われるかもしれませんが、少なくとも当場が生産したスルターナの2023と本馬に関しては標準以上の馬格があります。

血統面で言うと、コントレイルやキズナはStorm Catの血を持つ種牡馬ですが、本馬が属するモガミヒメ牝系にはこの「Storm Catの血を持つ」という特徴を備えた種牡馬を頻繁に配合してきました。

この牝祖にあたるモガミポイントが、Storm Catと相似な血のクロスを形成する関係にあるからです。

 

 

父系同士がStorm Bird≒Njinskyの相似クロスを形成し、それぞれの母父がSecretariat≒ボールドラッドによる3/4同血クロスをつくる関係にあります。

この組み合わせを活かして、国内外の重賞勝ち馬ディープボンドをはじめとした活躍馬が出てくれています。

モガミポイントの母父であるボールドラッドに関しては、コントレイルの血統に含まれるLucky Spell(Unbridled’s Songの2代母)とも相似クロスを形成すると考えます。

 

 

それぞれの母がPrincequillo×Mahmoud系の組み合わせであり、Royal Charger≒Nasrullahによる3/4同血クロスも形成する関係です。

Lucky Spellの孫であるUnbridled’s Song、そしてボールドラッドのいずれもが2歳戦で素晴らしい競走成績を挙げたこと、また父コントレイルと母アメージングムーンも現役時に2歳戦で成績を挙げたことを考慮すると、本馬にはある程度の早熟性が備わっているかもしれません。

この牝系らしく完成は古馬になってからだと考えていますが、血統面からは2歳戦から活躍できても不思議ないと思っています。

 

本馬に関しては、当場としては珍しく1000口募集とさせていただきました。

重賞3勝のノースブリッジの半妹であること、また多くのクラブ会員の皆さまがご注目されているであろうコントレイル産駒という点も考慮しながら、多くの方々に出資していただきやすい設定にしたつもりです。

実際、すでに多くのクラブ会員の方々に興味を持っていただくなかで、本馬の見学にも来てくださっていますし今後も見学予定が複数入っています。

クラブ会員の皆さまにご見学いただきながら、あるいはネットなどで情報共有していただきながら、本馬へのご出資をご検討くださると幸いです。

なお、当場においては早ければ10月末、遅くとも毎年11月末には全当歳馬の測尺を始めることにしています。

11月頃のクラブ募集馬の情報更新の際には、測尺も含めた本馬の情報提供ができる予定です。

全当歳馬を環境に慣れさせる意味でも少し時間をいただく形にはなりますが、あらかじめご了承ください。

 

【ターファイトクラブ募集馬】トキノステラの2023(牝 父アジアエクスプレス)

明日8月6日から、ターファイトクラブの2024年度1歳馬募集が始まります。

当場からは昨年の当歳馬募集のゼフィランサスの2023につづき、今回はトキノステラの2023を提供することになりました。

7月28日には、北海道市場で開催された1歳募集馬ツアーに参加されたクラブ会員の皆さまに本馬をご覧いただいております。

また、8月3日に大阪で開催された1歳募集馬検討会には当場から私が参加して、本馬のことをお問い合わせくださった参加者の方々に直接本馬のことを説明させていただきました。

 

 

【7月28日時点】体高156cm 胸囲184cm 管囲20.1cm 馬体重484kg

 

1歳募集馬ツアーに向けて測尺した結果の数字は、この時期としては立派なものです。

特に本馬は初仔の牝馬であり、通常はもっと小さな馬格でも不思議ありません。

にもかかわらず、現時点では当場の他の1歳牝馬世代と比較しても、十二分に馬格のある馬です。

ここまでの本馬は、昨年の離乳後に当場の中期育成部門に移動して、冬期も含めて休まず昼夜放牧できています。

1歳募集馬ツアーに参加された方はお分かりかと思いますが、本馬は牝馬ながら牡馬顔負けの筋肉質の立派な馬体をしていて、サイズ感も含めて明らかに父似の馬体的特徴を備えています。

気性も大人びている一方で、この牝系由来の気の強さはしっかりと持ち合わせています。

いま現在は昼夜放牧して基礎体力を鍛えながら放牧地でストレスが溜まらない日常を送っていますが、育成場に移動して後期育成に入ると、おそらくこの牝系由来の気の強さがより前面に出てくると予想します。

それはこの牝系にとって当たり前のことで、むしろその気性的特徴こそがこの牝系に繁栄をもたらしてくれていると思っています。

ちなみに本馬の育成場への移動時期は、育成場との調整も必要ですが、現時点では8月中旬の移動を見込んでいます。

 

父のアジアエクスプレスは、現役時に芝G1朝日杯フューチュリティSを制した一方でダートG3レパードSも勝っていて、ヘニーヒューズ産駒ということもあり基本的にはダート馬でした。

現役引退後は、当場と同じ新冠町の優駿スタリオンステーションに種牡馬入りしました。

その関係で、当場ではアジアエクスプレスを毎年のように種付していて、生まれてくる産駒もよく活躍してくれています。

G3葵SとG3北九州記念と重賞連勝中のピューロマジック、その全兄でOP韋駄天S勝ちのメディーヴァル、JRA現4勝でOPクラスのドンアミティエ、あるいは現在南関東で9勝してA2クラスのハセノエクスプレス。

彼らはみな当場生産馬であり、アジアエクスプレス産駒のなかでも獲得賞金上位の馬たちです。

そのアジアエクスプレス産駒について、獲得賞金上位50頭の血統傾向を調べてみたところ、以下のような血統的特徴が見受けられました。

 

①母方にHaloの血を持つアジアエクスプレス産駒 37頭/50頭

②母方にMr.Prospectorの血を持つアジアエクスプレス産駒 28頭/50頭

③母方にStorm Catと相似な血を持つアジアエクスプレス産駒 28頭/50頭

④母方にSpecialの血を持つアジアエクスプレス産駒 17頭/50頭

⑤父方のStorm Catと母方のNjinskyの血から成るStorm Cat≒Nijinskyの相似クロスを持つアジアエクスプレス産駒 17頭/50頭

⑥母方にRobertoの血を持つアジアエクスプレス産駒 11頭/50頭

 

①の特徴については、本馬の母父キングヘイローにHaloの血が含まれているのでこの特徴には当てはまります。

ただ、日本においてはHalo直仔のサンデーサイレンスの血が繁栄している関係で、この①の特徴はそれほど目立つものではありません。

 

②については、Mr.Prospectorの血が北米血脈に区分できるものであり、その北米血脈を豊富に持つアジアエクスプレスとは相性が良いことは十分に推測できます。

本馬はMr.Prospectorの血を持っていないので②の特徴に当てはまりませんが、Mr.prospectorに似た血統背景を持つ北米血脈のAlydarの血は持っています。

 

③のStorm Catと相似な血に関しては、Storm CatがNorthern Dancerを持っているほかNearco/Prince Roseのニックから成る血(Secretariat)も併せ持つという血統的特徴があります。

この特徴を満たす血を母方にも有するアジアエクスプレス産駒は活躍傾向にあるということです。

Nearco/Prince Roseのニックから成る血は、後世の産駒たちに柔軟性を与えている印象があり、芝・ダートどちらの適性がある馬にも見られる血統的特徴です。

本馬に関しては、母方にダンシングブレーヴおよびモガミポイントの血があるので③の特徴は満たしています。

 

④のSpecialの血に関しては、アジアエクスプレス産駒としては少し意外な血統的特徴でした。

Specialの血は、どちらかと言えば芝適性が高い馬の血統に含まれることが多い印象です。

ただ、確かに④の特徴を満たす当場生産のアジアエクスプレス産駒であるメディーヴァル、ピューロマジックの全きょうだいは芝のOPレースでも勝っています。

本馬に関しては、この④の特徴を満たしていません。

 

⑤のStorm Cat≒Nijinskyの相似クロスに関しては、上記血統表のStorm Cat≒モガミポイントの相似クロスを見てわかるように、本馬はこの特徴を満たしています。

この相似クロスを持つ馬は、底力に優れている印象があります。

 

⑥の母方にRobertoがあるパターンはRobertoの血自体の芝適性は高いものの、その血統構成は北米血脈であり、その北米血脈が豊富なアジアエクスプレスとは相性が良いと推測できます。

②の特徴と背景は同じでしょう。

本馬の母方にはRobertoの血がないので、⑥の特徴には当てはまりません。

 

アジアエクスプレス産駒の活躍馬に見られる6つの特徴のうちは、本馬が満たしている特徴は半分の3つでした。

それでも、本馬の母トキノステラはアジアエクスプレスと相性が良いと思っています。

なぜなら、まずこの配合で生まれた本馬が見栄えのする立派な馬体であること。

そして、本馬の母トキノステラと全姉妹の関係であるクラシックスの初仔ドンアミティエはJRAオープン馬ですが、彼はアジアエクスプレス産駒なので本馬とは同血と見なせる関係にあるからです。

 

 

本馬の2代母モガミヒメまで遡れば、この牝系とアジアエクスプレスの父系であるStorm Catの血を持つ種牡馬とは相性が良いことがわかります。

現役馬として国内外重賞4勝のディープボンド、ドンアミティエ(現JRA4勝)、アヴォンリー(元JRA3勝クラス)、ダンケシェーン(元JRA3勝クラス)、ライトヴェール(現ホッカイドウ競馬所属、Jpn3エーデルワイス賞4着)など、牡牝や芝・ダートそれから距離の長短も関係なく活躍してくれています。

本馬はその馬体、そして血統背景からダート短距離に適性があると思っています。

当場で育成してきたなかでは脚元の心配は一度もないほど骨格がしっかりとしていて、筋肉量も豊富なので、見栄えのする馬体と言えるでしょう。

栗東の藤野厩舎に所属予定ですが、藤野調教師は調教助手時代にこの牝系を多く手掛けていらっしゃるので、本馬の育て方にも役立ててくれると思います。

育成場についても、この牝系を多く手掛けてくださっているファンタストクラブさんに移動予定です。

 

すでに本馬の出資に対する先行予約は始まっていて、お蔭様で順調にご予約いただいてるようです。

明日8月6日から始まる2024年度1歳馬募集においても、多くのクラブ会員さまに本馬への出資をご検討いただけると幸いです。

 


最後に、もう1頭のターファイトクラブ募集馬で、当歳時に満口にしていただいたゼフィランサスの2023の近況をお伝えします。

 

 

【7月28日時点】体高151cm 胸囲173cm 管囲19.3cm 馬体重412kg

 

暑い夏を迎えるなかで、本馬の青鹿毛の毛色は日焼けして疲れやすいと推測されるなかで、馬体の張りはよくキープできています。

トキノステラの2023と比べると数字が寂しく感じるものの、トキノステラの2023が牝馬でも大柄な部類なので、なおさらそのように感じるかと思います。

ゼフィランサスの2023自身も確実に成長してきていて、飼い食いに関しても、暑い夏のなかでさえ以前よりしっかりと食べることができています。

キズナの牝駒には小柄なタイプもいますが、現時点では本馬もそのカテゴリーに入るのでしょう。

ただ、パワフルでやや硬めの歩様であるトキノステラの2023に対して、本馬は芝血統らしく可動域が広くて柔軟性に富んだ素軽い歩様をしています。

ディープ系産駒らしい全身を使った柔らかい歩様という長所は相変わらずですし、やはり垢抜けています。

本馬に関しても8月中には育成場へ移動する可能性があり、育成場と馬房の調整がありますが、遅くとも9月上旬には移動させたいと思っています。

なお、移動先は坂東牧場さんを予定しています。