今回は、当場からセレクションセール2日目に上場予定の№242キタサンテンビーの2023を紹介させていただきます。
本馬の牝系解説文(ブラックタイプ)はこちらからご参照ください。
上記の360℃画像は、クリックもしくはタップしながら横にスライドすると回転していきます。
【7月21日現在】体高154cm 胸囲180cm 管囲20.4cm 馬体重465kg
本馬は現在、当場の高江第1分場(1歳分場)にて昼夜放牧をしながらセリ馴致をしています。
当場の方針として、当場内でセリ馴致する際はセールに上場することだけを目的とせず、将来の競走馬という意味でもしっかりと基礎体力を付けて送り出したい思いから昼夜放牧も同時に実施しています。
G2日経新春杯勝ちのモズベッロ(2017年セレクションセール取引馬)、国内外の重賞を4勝している現役馬ディープボンド(2018年セレクションセール取引馬)、G3エルムS勝ち馬フルデプスリーダー(2018年セレクションセール取引馬)、G2AJCCとG3エプソムCの勝ち馬ノースブリッジ(2019年セレクションセール取引馬)、そして今年のG3葵SとG3北九州記念の勝ち馬ピューロマジック(2022年セレクションセール取引馬)。
彼らはすべて当場生産によるセレクションセール上場馬ですが、当場内で昼夜放牧をしながらセリ馴致をしてセール上場した馬たちです。
正直なところ、昼夜放牧をしながらセリ馴致をすると疲労が溜まりやすいのですが、そのあたりは獣医に相談するなどして適切なケアをしてもらって対応しています。
これまで同様、セール当日に向けて細心の注意を払いながらセリ馴致を進めていきます
本馬の母キタサンテンビーは小柄で400kg台で競馬した馬ですが、彼女から生まれてきた産駒は総じて母よりも馬格があります。
本馬もこの時期で体高154cm、馬体重450kg以上ならば十分な馬格を備えていると考えます。
父ミスターメロディにとっては、現在の2歳世代が初年度産駒となります。
大井の新馬戦で6馬身差圧勝したミスタージョンや、JRA新馬戦で2着しているオンザブルースカイなどいますが、まだこの時期なのでこれから種牡馬成績が伴ってきそうです。
当場では毎年ミスターメロディの産駒が生まれていますが、馬体のパターンとしては2種類に分かれると考えます。
1つは、ミスターメロディの父であるScat Daddyに似た雰囲気の馬体の産駒です。
やや重心が低めで、四肢の筋肉量が豊富であり、いかにも短距離適性が高そうな馬体に見せます。
本馬はどちらかと言えば、この1つ目のパターンに属する馬体だと思っています。
本馬に関しては、母父ダイワメジャーの影響も少なからずあるかもしれません。
というのも、本馬の歩様からはサンデー系に見られる独特の柔軟性を感じさせるからです。
ミスターメロディ産駒の2つ目のパターンとしては、ミスターメロディ自身がそうであるように、短距離血統にしてはやや脚長で重心が高く素軽く見せる馬体に出ることがあります。
当場生産の現2歳メロディーロード(牝、父ミスターメロディ)はこのタイプで、母メジェルダの影響も受けて短距離適性が高そうなのですが、Scat Dddy系のなかではそれほど重心が低くありません。
一方で、今回上場予定の本馬もそうですが、ミスターメロディ産駒は平均して気が強い印象があります。
このあたりは、いかにも短距離タイプという気性だと思います。
当然、のんびりタイプよりは、気が強くて行きたがるくらいの雰囲気の馬のほうが短距離向きでしょうから、本馬のこの気性も血統的に合っていると思います。
その本馬の血統について、いくつか指摘しておきたいポイントがあります。
もともと、本馬の属するモガミヒメ牝系は、本馬の父ミスターメロディのようにStorm Catの血を持つ種牡馬と相性が良い傾向にあります。
国内外の重賞4勝の現役馬ディープボンドや、JRA4勝で現役OP馬のドンアミティエ、あるいはヘニーヒューズ産駒のダンケシェーン(JRA3勝)やアヴォンリー(JRA3勝)。
彼らはいずれも父の血統にStorm Catが含まれていて、母方はモガミヒメ牝系に属する馬たちです。
血統面でこれを説明するならば、Storm Cat≒モガミポイントによる相似クロスができるので相性が良い、競走馬として成功しやすいと言うことができるかもしれません。
本馬の5代父Storm Catと本馬の4代母であるモガミポイントは、Storm Bird≒NijinskyというNorthern Dancer系×Bull Page系の組み合わせがあるほか、Secretariat≒ボールドラッドによる4分の3同血クロスもあるなど、血統的に相似性が高い関係だと言えます。
この2つの血脈には多くの北米血脈が含まれていることから、北米血脈らしい力強いスピードが伝わるのではないかと推測します。
Storm Catの血という点では、本馬の母内スカーレットブーケとの間に、Storm Cat≒スカーレットブーケの相似クロスができます。
どちらも父がNorthern Dancer系であり、母方にCrimson Satanの血がある点でも共通しています。
このStorm Cat≒スカーレットブーケの相似クロスからは、G1馬で現種牡馬のカレンブラックヒル(G1NHKマイル)などが出ています。
また、本馬はNijinsky5×5*6の配合ですが、このNijinskyの血とStorm Catの父であるStorm Birdとは、Storm Bird≒Nijinskyの相似クロスを形成する関係です。
いずれも父がNorthern Dancerであり、母の父はBull Page系という点で共通しています。
こうして見るとStorm Bird≒Nijinskyの相似クロスがあり、Storm Birdの息子Storm Catの代ではStorm Cat≒モガミポイントとやStorm Cat≒スカーレットブーケの相似クロスができるなど、このStorm Bird~Storm Catのラインは本馬の血統にとって重要な役割を果たしているのがわかります。
特にStorm Catの血は、芝にしろダートにしろ日本適性が非常に高いので、本馬の血統にもスピード優位の日本適性の高さが伝わっていると思います。
このほかにもMr.Prospector≒AlydarやVice Regent≒ノーザンテーストなど、さまざまな配合手法を本馬の配合に織り込みました。
これらの血統パターンが、本馬の競走能力強化につながってほしいと願っています。
本馬に関してお問い合わせがございましたら牧場公式サイトからご連絡いただくか、当ブログに連絡先を添えてコメント欄にご記入くださるようお願いいたします。
当場から折り返し連絡させていただきます。
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