【セレクションセール】№15エイシンキルデアの2023(牡 父インディチャンプ)

今年のセレクションセールも、昨年同様に当場から3頭の生産馬を上場予定です。

7月22日から始まる初日に№15エイシンキルデアの2023を、2日目には№242キタサンテンビーの2023、そして3日目には№494クラシックスの2023を上場予定です。

今回は、そのうちの上場番号№15エイシンキルデアの2023を紹介させていただきます。

本馬の牝系解説文(ブラックタイプ)はこちらからご参照ください。

 

上記の360℃画像は、クリックもしくはタップしながら横にスライドすると回転していきます。

 

【7月21日現在】体高152cm 胸囲175cm 管囲19.9cm 馬体重431kg

 

本馬は現在、当場の高江第1分場(1歳分場)にて昼夜放牧をしながらセリ馴致をしています。

当場の方針として、当場内でセリ馴致する際はセールに上場することだけを目的とせず、将来の競走馬という意味でもしっかりと基礎体力を付けて送り出したい思いから昼夜放牧も同時に実施しています。

G2日経新春杯勝ちのモズベッロ(2017年セレクションセール取引馬)、国内外の重賞を4勝している現役馬ディープボンド(2018年セレクションセール取引馬)、G3エルムS勝ち馬フルデプスリーダー(2018年セレクションセール取引馬)、G2AJCCとG3エプソムCの勝ち馬ノースブリッジ(2019年セレクションセール取引馬)、そして今年のG3葵SとG3北九州記念の勝ち馬ピューロマジック(2022年セレクションセール取引馬)。

彼らはすべて当場生産によるセレクションセール上場馬ですが、当場内で昼夜放牧をしながらセリ馴致をしてセール上場した馬たちです。

正直なところ、昼夜放牧をしながらセリ馴致をすると疲労が溜まりやすいのですが、そのあたりは獣医に相談するなどして適切なケアをしてもらって対応しています。

本馬は4月生まれということで、当場から上場予定の3頭のなかでは体高が少し低いほうですが、将来に向けては十分な馬格を備えています。

これまで同様、セール当日に向けて細心の注意を払いながらセリ馴致を進めていきます。

 

本馬の父インディチャンプにとっては、この1歳世代が初年度産駒になります。

供用初年度が120頭、2年目が115頭の種付けなので、初年度から安定した人気を誇っています。

というのも、初年度産駒が誕生した昨春の早い段階からインディチャンプ産駒の出来が良いとの情報を耳にしていて、そういうことも影響して供用2年目の種付けが115頭と人気を博した面もあるでしょう。

実際、昨年の4月中旬に本馬が生またときも思わず納得したほど、誕生時の馬体の出来が良かったと記憶しています。

お陰様でその本馬の出来が評価されてか、セレクションセール1日目のプレミアムセッションに合格してくれました。

本馬の血統を配合面から見ると、インディチャンプの3代父であるHaloとエイシンキルデア内のSir Ivorの血が相似クロスを形成する関係になります。

 

 

いずれの血脈もTurn-to、Pharamond、MahmoudそしてSir Gallahadを持つ点で共通していて、このHalo≒Sir Ivorの関係はかなり相似性が高いと見なせます。

このことは、以前本馬の半兄インテグレイト(エイシンキルデアの2021)をセレクションセールに上場する際に書いた紹介記事のなかでも指摘しました。

興味のある方はこちらからご参照ください。

Halo≒Sir Ivorができる配合は底力のある芝馬が生まれやすいと感じていますが、実際にこの血統パターンを持つ本馬の半兄インテグレイトはJRA芝2000の新馬戦を勝っています。

本馬の配合においては、Kigmambo×Sadler’s Wellsの組み合わせにもご注目いただきたいです。

この組み合わせはニックスと呼べるほどの相性の良さがあり、日本においてはG1を3勝したタイトルホルダーや年度代表馬エルコンドルパサーなど、また海外では凱旋門賞馬ワークフォースや英愛2000ギニー勝ち馬Henrythenavigatorなど多くの名馬が誕生しています。

 

本馬も父方にKingmamboを、母方にSadler’s Wellsの血を持っているので、この組み合わせができる血統パターンです。

このほかでは、インディチャンプ内のトライマイベストと、エイシンキルデア内のPassing Moodによる相似クロスも特徴的だと思います。

 

 

いずれもNothern DancerとBuckpasserの組み合わせから成る血統であり、相似性が高い関係です。

さらに言及すると、本馬の2代母Bala(重賞3勝馬スワーヴアラミスの2代母でもある)がBuckpasser3×4を持つ底力あふれる血統をしていることから、この血を活かす意味でもBuckpasserが絡むトライマイベスト≒Passing Moodの相似クロスは有効であると考えます。

 

本馬の母エイシンキルデアについては、以前国内の繁殖牝馬セールにて当場が購買した繁殖牝馬です。

そのため、以前の産駒の出来に関して詳細はわかりませんが、当場にやってきて配合から生産・育成まで手掛けた最初の馬が3歳牡馬インテグレイト(JRA新馬戦勝ち)であり、力を入れている繁殖牝馬です。

当然、本馬にも大きな期待をしていますし、セレクションセールのプレミアムセッションに合格した馬として恥ずかしくない状態でセール上場に臨みたいと思っています。

本馬に関してお問い合わせがございましたら牧場公式サイトからご連絡いただくか、当ブログに連絡先を添えてコメント欄にご記入くださるようお願いいたします。

当場から折り返し連絡させていただきます。

 

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当場生産馬のピューロマジック号がG3北九州記念を快勝!

6月30日小倉第11RのG3北九州記念(芝1200)に、当場生産馬のピューロマジック号が出走しました。

 

 

このレースには本場の全兄メディーヴァルも出走していて、きょうだい2頭出走ということもあり、私のほうで現地まで応援に行ってきました。

ピューロマジックは前走のG3葵Sを勝っていることもあり、重賞という大きな舞台ではありましたが、3番人気でレースに臨みました。

稍重発表の馬場ではあったものの前走同様にスタートしてからの加速が速く、このレースでもハナに立ってレースを引っ張っていきます。

後続のなかには追われながらピューロマジックに付いて行こうとする馬もいるなか、彼女は自分のペースに持ち込むことで脚を溜めながら、3~4コーナーでは後続に3馬身ほど離して直線を迎えます。

最後の直線を迎えて、鞍上の松山騎手にゴーサインを出されたピューロマジックは先頭で粘りながら、最後は2着馬に1/2馬身差まで詰め寄られたものの逃げ切り勝ちを収めてくれました。

馬主様をはじめ関係者の皆さま優勝おめでとうございます。

本馬は、2022年のセレクションセールにて現在の馬主様にご購買いただきました。

セール上場に向けての当時の記事はこちらからご参照ください。

 

【1歳時のピューロマジック】

 

残念ながら、全兄のメディーヴァルは15着という結果でした。

パドックでチャカチャカしていた妹とは異なり、久々に直接見たメディーヴァルは体つきも堂々とした立派な馬体に成長していました。

精神的にもどっしりしていましたし、馬場もこの馬向きだと思いながら大駆けを期待していましたが、スタートが上手くいかずにそのロスをカバーし切れないままレースが終わった印象です。

ただ、今の彼は心身ともに充実しているように見受けられました。

6歳という年齢ですが、もう一花咲かせてほしいと願っていますし、勝ち鞍のある新潟の千直に向かいたいようなので改めて期待したいです。

 

当場生産馬のなかで、JRA重賞2勝以上の牝馬はピューロマジックが初めてになります。

しかも3歳のこの時期に古馬相手に重賞を勝ってくれたのも、彼女の将来に向けては良い経験になったでしょう。

この中間は厩舎サイドで本馬の成長、特に精神面の成長を促すような調教を施してくださっていたようです。

重賞という舞台ではスピードがあるだけでは勝つことは難しいですし、重賞連勝などさらに大変です。

今回の勝利は、その厩舎サイドの調整過程と、今回が2回目の騎乗となった松山騎手が彼女のレースにおける特性を活かしてくれたことも大きかったと思います。

次走がどこになるかはこれからでしょうが、将来はG1に挑戦してほしいと期待しているところです。

 

当場生産馬のオールスマート号が園田FCスプリント(重賞)を快勝!

6月13日、園田第11Rの園田FCスプリント(重賞2、ダ820)に当場生産馬のオールスマートが出走しました。

 

 

8歳を迎えた今年1月までは、大井競馬一筋だったオールスマート。

その後、佐賀競馬に転籍してからは勝ち癖が付いたのか、5連勝してこのレースに臨むなかで1番人気に支持されていました。

820Mという特殊な条件のスプリント戦で、オールスマートは抜群のスタートを切って先頭を奪い、そのままレースを進めていきます。

直線に入って追われ始めてからは、さらに後続を突き放す展開で、最後は2着馬に3馬身差をつけて優勝しました。

馬主様をはじめ関係者の皆さま優勝おめでとうございます。

本馬は、庭先取引にて馬主様にご購買いただきました。

大井競馬に所属している当時、2022~2023年に勝ち星がなかったので、年齢的に厳しいのかなと見ていました。

しかしながら、佐賀競馬に転籍すると水が合ったのか、そこで連勝するまでにフィットしてくれました。

それでも、まさか園田重賞を制するまでになるとは想像できませんでした。

重賞でも園田820Mという舞台が本馬に合うという、陣営の慧眼によるものでしょう。

 

先日、G3葵Sを制したピューロマジックや、タイキシャトルCを勝ってOP入りしたバグラダスは、本馬と同じメジェールを牝祖とする牝系です。

特にメジェールの娘メリュジーヌを経た牝系からは、本馬も含めてパワフルなスピードに優れた馬が多く出ています。

重賞を勝ったことでさらに自信を深めたなかで、オールスマート陣営がどのようなレース選択をしていくのか、今後も期待しながら応援したいと思います。

 

セレクションセールに当場生産馬3頭が合格

7月22~24日に、北海道市場にてセレクションセールが開催されます。

当場からは当セールに3頭が合格しています。

 

【セレクションセール1日目(プレミアムセッション)】

№15エイシンキルデアの2023(牡 父インディチャンプ)

 

【セレクションセール2日目】

№242キタサンテンビーの2023(牡 父ミスターメロディ)

 

【セレクションセール3日目】

№494クラシックスの2023(牡 父マジェスティックウォリアー)

 

当場生産馬からセレクションセールに上場した馬はよく活躍してくれていて、これまでに4頭のJRA重賞勝ち馬が出ています。

 

【2017年セレクションセール上場馬】

モズベッロ(G2日経新春杯、G1大阪杯2着、G1宝塚記念3着)

 

【2018年セレクションセール上場馬】

ディープボンド(仏G2フォワ賞、G2阪神大賞典2回、G2京都新聞杯、G1天皇賞・春2着3回3着1回、G1有馬記念2着)

フルデプスリーダー(G3エルムS)

 

【2019年セレクションセール上場馬】

ノースブリッジ(G2AJCC、G3エプソムC、香港G1Qエリザベス二世C3着)

 

【2022年セレクションセール上場馬】

ピューロマジック(G3葵S)

 

今年の上場馬も当セールでしっかりと評価してもらえるように、また将来に向けて立派な競走成績を上げられるように、現在はセール当日に向けてセリ馴致中です。

それぞれの上場予定馬の紹介記事は、後日このブログ上で更新する予定です。

本年も、当場生産のセレクションセール上場馬に是非ご注目ください。

 

【セレクトセール当歳】№438クラシックスの2024(牡 父キズナ)

前回のゼフィランサスの2024につづき、今回も当場からセレクトセール当歳に上場予定のクラシックスの2024(牡、父キズナ)を紹介させていただきます。

本馬の牝系解説文はこちらからご参照ください。

 

 

【誕生時】64kg 【6月17日現在】196kg

 

本馬の母クラシックスはJRAで入着歴はあるものの未勝利で終えて、南関東に転籍して2勝した後に当場にて繁殖入りしました。

ただ、繁殖牝馬としては優秀で、初仔からJRAダートで4勝してOP入りしているドンアミティエ(牡4歳、父アジアエクスプレス)を、2番仔のライトヴェール(牝3歳、父ヘニーヒューズ)はホッカイドウ競馬所属ながらJpn3エーデルワイス賞4着など現時点で6戦3勝2着2回と活躍中です。

母のクラシックスは、血統的にディープボンドの母ゼフィランサスの全妹にあたります。

そのゼフィランサスは初仔からJRAダート3勝のダンケシェーン(父ヘニーヒューズ)を出し、3番仔のディープボンド(父キズナ)は国内外の芝重賞を4勝しています。

この牝系は芝の種牡馬を配合すると芝馬が、ダート系種牡馬を配合するとダート馬を送り出す傾向にあります。

クラシックスもこれまでダート系種牡馬のアジアエクスプレスとヘニーヒューズを配合したことでダート馬2頭を出しましたが、この当歳牡馬はキズナなので芝馬になるのではと予測しています。

実際、本馬のように顔が小さいのは父系であるディープインパクト系の特徴でもありますし、馬体のシルエットも素軽いので、やはり芝向きという印象です。

本馬の体質は、一部のキズナ産駒に見られるように少し硬めに感じさせますが、いずれ柔軟性が増してきそうな雰囲気です。

これまでは非常に順調に成長していて、漆黒の青鹿毛ということもあり、セール当日は見栄えのする馬体で上場できそうです。

さて、この当歳牡馬の血統に目を向けると、父キズナで母がゼフィランサスの全妹ということで、血統的には重賞勝ち馬ディープボンドと同血と見なせる関係になります。

 

 

このように血統的に近親度が高いので、本馬にとってはディープボンドが一つの指標になるでしょう。

№359ゼフィランサスの2024の記事でも指摘しましたが、本馬の配合においてはディープインパクト≒キングヘイローによる相似クロスが成り立っていると考えます。

 

 

いずれの血脈もLyphard、HaloそしてSir Ivorを持つ点で共通しています。

キングヘイロー自身がHalo≒Sir Ivor≒Droneという強力な相似クロスを持つ血統パターンなので、そこにHaloとSir Ivorを持つディープインパクトの血を加えてキングヘイローの血統的特徴を継続させることは、競走能力の強化という点でプラスになると考えています。

実際、本馬と同血の関係にある当場生産馬ディープボンドは重賞を4勝もしてくれて、いまなお重賞戦線で好走してくれています。

ちなみに、以前ディープボンドをセレクションセールに上場(当時はゼフィランサスの2017として上場)した際の紹介記事がこちらにありますので、興味のある方はご参照ください。

本馬の血統においては、Storm Cat≒モガミポイントの相似クロスも特徴的です。

 

 

キズナの母父であるStorm Catとクラシックスの2代母であるモガミポイントは、Storm Bird≒NijinskyというNorthern Dancer系×Bull Page系の組み合わせがあるほか、Secretariat≒ボールドラッドによる4分の3同血クロスもあるなど、血統的に相似性が高い関係だと言えます。

実際、クラシックスにStorm Cat系種牡馬アジアエクスプレスを配合して生まれたドンアミティエ(牡4歳)は現在JRAダートで4勝してOPクラス入り、同じくStorm Cat系のヘニーヒューズをクラシックスに配合して生まれたライトヴェール(牝3歳)もJpn3エーデルワイス賞4着するなどホッカイドウ競馬で活躍中です。

 

今年はジャスティンミラノがG1皐月賞を制するなど、現時点でキズナは種牡馬リーディング争いのトップに位置しています。

このうち、本馬と同じキズナ×キングヘイロー牝馬の組み合わせは、ディープボンドなど8頭がJRAでデビューして6頭が勝ち上がるなど相性の良い配合です。

セール当日は、好調なキズナ産駒である本馬にも是非ご注目ください。

本馬に関してお問い合わせがございましたら牧場公式サイトからご連絡いただくか、当ブログに連絡先を添えてコメント欄にご記入くださるようお願いいたします。

当場から折り返し連絡させていただきます。